教訓。

阪神・淡路大震災から今日で20年。

 

20万棟以上の全半壊家屋とその倒壊により多くの方が命を落とされました。

特に、旧耐震基準の建物に大きな被害が集中してしまったのです。

 

1948年の福井地震、68年の十勝沖地震、78年の宮城沖地震と大地震の被害を教訓に建築基準法の考え方が都度見直され現在に至っています。

 

ですが、構造設計における安全性の確認だけでは実務者としては十分ではないと思っています。

 

私たちが住宅の耐震化を図るのは当然のこと。

 

実際に大地震が発生した時の建物の損傷を抑えるだけではなく、設計の段階でもっと具体的に居住者の安全を確保するように努めなければならないと考えています。

建築計画の中で、過去に起きた震災の被害状況から学んだことを施主様に伝え、新生活に反映して頂く事が重要だと。

 

まずは家具の固定。

阪神・淡路大震災では家屋の倒壊だけでなく、家具の転倒により命を落とされた方やケガをされた方が非常に多かったのです。

 

ご自宅の食器棚は固定していますか?

避難する際にガラス・食器片が足の裏などのケガに繋がったそうです。

 

寝室の洋服ダンスは固定していますか?

家具の転倒は就寝中などに下敷きになるなどして死にも至る場合があり非常に危険です。

 

私たちも建築計画の中で、こういった事を教訓にベッドの配置を検討したり、事前に家具の配置を伺い、重量のある婚礼箪笥などはベッドルームでなく納戸に置くなど可能な限り事前に得られる情報は計画的に災害に備えるようにご提案しています。

 

食器棚など収納家具類もなるべく造作で計画してゆきます。

 

それと予算の関係上、今お使いの収納家具を新居でも使ったり新規で別購入する場合があります。

 

計画中に、「置かれる家具は固定してくださいね。ビスを留める為の下地を入れておきますので家具のサイズを教えてください。」などど打ち合わせをしていても、引っ越ししてしばらくしてから伺うと、多くの方が固定していません。

 

新築の家の壁に、ご自身で 「豪快にビスを打つなどできない」 そうです。

 

施主様は失敗したら怖いし、そもそも傷をつけたくないのだと思います。

その場合、こちらで固定させて頂いています。

 

とにかく危険を認識することが重要なのです。

 

設計する側としては、構造の検討はもちろん、非常灯など停電時のライティング提案やライフラインの復旧状況の事例を施主様に説明し選択頂く事も必要です。

 

そして、住宅の高断熱化も冬期の災害時には非常に大切な事となります。

ライフラインが断たれた時、つまり暖房ができない状態になった時の室温低下を防ぐ事は、ぼくらは非常に重要であると考えています。

 

いずれにしましても、文部科学省の公式見解では「南関東でM7クラスの地震が発生する確率は30年以内に70%」と発表されています。

 

住居建築に携わる者としては、単に「家を建てる」のではなく、「災害時にはどのような事態が住居内で起こり得るのか」を住まい手に伝え、安全性・居住性を考慮して計画して行かねばなりません。